欲しかった言葉は「秘密」
劇団Яeality第8回公演「七月の涙夕月夜の花束」、誰一人欠けることなく終演いたしました。
こんなご時世にご来場頂いた方々、本当にありがとうございます。
ご挨拶、並びに振り返りなどをつらつらと書いていきます。
お付き合いの程よろしくお願いいたします。
ストッパーがいない状態での無謀な公演

今回、全ての出演者と裏方が劇団Яealityの団員ではありませんでした。
団員がいないからこそ、トリプルキャストのマルチエンディングそしてロングランということを決行できました。
結果として、役者の体調的に10日は長すぎるとか運営の方法とか
色々改善・反省すべき点が見つかり私的には収穫の多い公演でした。
大きな座組みであるほど意思の統率が難しく
「劇団Яealityとして何がやりたいのか」を見失ってしまいそうになりました。
だからこそ、私はお客様に何を伝えたいのか、何を表現したいのかをしっかり見つめ直し
劇団Яealityという団体がどのような方向を向けばいいのかをもう一度言語化しなければ、とも思いました。
私は自ら苦しむ道を歩むのが大好きな人間なのですが
これからは苦しい先に何があるのかを考えます。
誰にも言えない「思い出」

今回、アンケートまでが演出だと思っていました。
自由記述のアンケート項目の中に
「あなたの大切な人との思い出を教えてください」という項目がありました。
思い出を聞きたかった訳ではないのです。
この涙月花という作品は、大切な人を守ったり共に過ごしたり尊重することが描かれる作品です。
その作品を見た中で、「大切な思い出」を思い出して欲しかった。
「大切な思い出」を思い出して、大切な人のことを考えて
その思い出を胸に劇場を出て欲しい。
願わくば、大切な人に連絡したり家でアルバムを見返したりして欲しい。
「大切な思い出」を胸に、前に歩き出して欲しい。
だからこそ、あの質問で欲しい言葉は「秘密」だったんです。
誰にも言えない程「大切な思い出」を思い出して、未来に向かう。
そんな願いが私の中にありました。
これから何をしたいのか

劇団Яealityの発足のきっかけは、横月がもう脚本を書かないと言い出したことでした。
今、横月はきっと脚本を書きたいと思っている、と感じる。
では、私は何をするべきなのだろうと思います。
横月まひろの世界を通して、何を伝えて何を考えればいいのか。
横月の作品は、正直好みが別れているとは思います。
けれど、私と同じように「この作品が好き」と言ってくださる方や
作品を通して少しだけ前を向けたり心に残る方に向けて
私は何を発信したらいいのだろう。
涙月花のアンケートで
「もう一度観たい」「応援したい」という言葉がありました。
その方達に対して提供できるもの、そして劇団としての強みを
新たな仲間と共に考えて行ければいいなと思っております。
思い出を胸に前へと進む

劇団Яealityが発足して6年。
大切な人たちとの出会い、応援してくださる方との出会い。
そんな大切な思い出を胸に、前へと進んで行きたいと思います。
世の中が大変なことになっている中、ご来場頂いた方。
遠くから応援してくださった方。
全てのЯealityを応援してくださった皆様に感謝申し上げます。
劇団Яeality主宰
香西姫乃